壊れる世界

ある日、世界が崩壊することがわかる。
わかった時点から、日本では粛々と生存への道を探り続ける。
どうやらシェルターがあり、そこに自分の持ち込みたい荷物などを前もって送っておくことができるという。

日常は平常と変わらず進んでいく。

変わらず進んでいくのだが、その裏で粛々とシェルターへ送るものを用意している。
私も例に漏れず色んなものを持っていくために準備している。この世の中が崩壊するのであれば、もう二度とこの世界には戻ってくることができないということである。

ああ、本を持っていかねば。

本さえあれば空虚な時間ができたとしても時間を使うことができる。本さえあれば、未来のいつか別の生き物がこのシェルターを発見したとき、文明の一端を見つけることができるのではないだろうか。

ああ、なにか良さそうな本を持っていかねば。
それが自分の使命であるかのように私は持っていく本を探している。

探しているうちに、崩壊の日がやってきた。
なんの前触れもなく、予告どおり、予定通りに崩壊が始まった。

大きな地割れの音がする。

私もシェルターに向けて移動しなくてはならない。
選びきれなかった本の中から時間がなく適当に掴んで持っていくことになってしまった。
あの本のほうが良かったかもしれない。とシェルターに向かうバスの中で悩む。

土埃が舞っている外の景色をほんやり眺めているとビルがミシミシと崩壊しそうになっている。一階部分はすでに重みで崩壊している。

バスから眺める景色の隅に隊列を組んだ集団がザクザクと歩いているのが見える。
崩壊しようとしているこの世界で彼らは何をしているのか。
聞くところによると彼らは囚人でその生命を投げ出してシェルターへ向かう人たちを補助するために駆り出されているのだという。

具体的にどのように補助するのかわからないが、倒れゆくビルを止めるために集団になって押さえつけるためだそうだ。

ただ、ビルを人間の手で抑えられるわけがない。

崩壊するビルの下敷きになって彼らは死にゆくのだろう。
それをぼんやりと眺めながら、シェルターに向かうバスはゆっくりと進んでいく。

。。。この世界はどうなってしまうのだろう。

わからないが、ここで私の夢は終わった。
まるで映画のようで、どこかリアルさがあって、すごくはっきりとした映像で怖かったが夢で良かった。

怖い夢は嫌だ。

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